ボクシング:ウェルター級王座統一戦、ジャロン・エニス選手vsエイマンタス・スタニオニス選手の感想

2025年4月12日(現地時間)、アトランティックシティで開催されたIBF・WBA世界ウェルター級王座統一戦、ジャロン・エニス選手とエイマンタス・スタニオニス選手の一戦を観戦しました。ボクシング初心者の私でも、その技術の高さと に引き込まれた素晴らしい試合でしたので、感想を共有させていただきます。

ジャロン・エニス選手は、左右、どちらもスイッチできる選手ですが、今回の試合では、サウスポースタイルを貫き、188cmのリーチを活かして距離を制し、試合の主導権を握りました。特に目を引いたのは、体幹の安定性と攻防の切り替えのスムーズさで、終始バランスを崩すことがありませんでした。また、コンビネーションは圧巻で、的確にパンチを当てる正確さは素晴らしいです。特に6ラウンドでの左アッパーの4連打は攻撃センスと判断力の高さを示していました。

一方のエイマンタス・スタニオニス選手は、積極的に前へ出て攻撃を試みていましたが、エニス選手の巧みな距離操作とスピードに翻弄され、なかなか自分の距離を掴むことができていませんでした。インファイトを仕掛けても、エニス選手から被弾するシーンが何度もあり、ラウンドが経過するごとに戦術がなくなっていった印象です。また、試合中に何度もバランスを崩してしまい、効果的なパンチを繰り出せず苦戦するシーンが多く見受けられました。

特に印象的だったのは6ラウンドです。エニス選手がスタニオニス選手をロープに追い込み、左アッパーを連発で繰り出し、スタニオニス選手からダウンを奪った場面は圧巻でした。通常なら左右を打ち分けるところを、敢えて左だけで畳み掛けたその判断力と瞬発力は、エニス選手のボクシングセンスを感じました。

また、エニス選手の防御技術も光りました。スリッピングアウェイを駆使して相手の攻撃を巧みにかわし、最小限のダメージで的確に反撃に繋げる戦い方は圧巻でした。

この試合を通じて感じたのは、ジャロン・エニス選手の圧倒的なボクシングセンスと冷静な試合運びです。相手の戦意を奪う巧みな緩急、そしてチャンスを逃さない鋭い攻撃は、今後のビックマッチがさらに楽しみになりました。

ジャロン・エニス選手はこの勝利によりウェルター級統一王者となりました。27歳という若さを考えると、これからさらに成長し、階級を超えた評価(パウンド・フォー・パウンド)でもその名を広く知られる存在になるのではないかと期待が高まります。ボクシング初心者の私にとっても、今後ますます目が離せない注目選手になりました。

<選手プロフィール>

■ジャロン・エニス(アメリカ)

■エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)